1999年 旅行記


トルコ編 その2

「それにつけても多いのが食べ物と飲み物の話」





イスタンブール


 イスタンブールに話を戻そう。

 空港からバスと市電で市内に出る。アヤソフィアやブルーモスクのある
スルタン・アフメット地区のホテル「Askin」にチェックインする。20
ドル。部屋は小奇麗だがとても狭い。しかし部屋の窓から海が一望できる。
さらにここの屋上からはブルーモスクが目の前に見える。あたりを見回し
てもこのへんでは眺めはこのホテルが一番良さそうだ。お値打ちと言える
かもしれない。

 一休みしてから市内散策に出る。イスタンブールに来たのはもちろん、
はじめてだが何となく前にも来たことがある様な気がしてならない。今ま
で行ったことがある街で言うとアテネ、プラハ、カイロといったところを
ちょっとずつ混ぜた感じだ。ヨーロッパの古い街の雰囲気に近いものもあ
るが街中に点在するモスクが独特な味を加えている。


 果物を売っている少年がいた。サクランボを0.5キロで1ドルでどやと
言われ思わず買ってしまった。後から考えるとこれはふっかけられたとい
う程ではないがちょっと高い。1キロでも200円弱というのが相場の様だ。

 トルコでは(そしてこの後のギリシアでも)サクランボと桃ばかり食べ
ていた。桃もとても安い。日本では高い果物がこのへんではえらく安いの
だ。味も申し分ない。
 私は果物が大好きだから桃なんてしょっちゅう1キロくらい買っては食
べていた。サクランボもつい何度か1キロ買ってしまったがこれはそのた
び後悔した(それでもまた買ってしまうのだが)桃1キロはわりと簡単に
食べられてしまうがサクランボ1キロというのは一人で食べるにはいくら
なんでも多すぎる。途中でいやになる。
サクランボは1キロも食うもんじゃない
これが私がこの旅で得た教訓である。つまらん教訓ですね。

 安いと言えばメロンも安かった。しかしメロンにはメロンの性(さが)
として(?)どうしても当たりはずれがある。当たりメロンなら一人でも楽
しく食べられるがはずれメロンを一人で食べるのはなかなかつらいものが
あった。まあ通算すれば4勝2敗くらいで当たりの方が多かったと思うが。



 ガラタ橋に出る。橋の対岸が新市街、左手に金角湾、そして右手奥の方
にはボスポラス海峡が広がっている。いかにも「イスタンブールに来まし
てん」という感じの場所でなかなか気持ちが良い。

 このあたりでは浮かんだボートの上で名物「焼きサバサンドイッチ」を
作って売っている。サバの他にピーマンやトマトが入り、置いてある生タ
マネギを各人の好みで加え塩と酢をかけて食べる。1個150円程度。な
かなか美味しい。

 この辺はこまかい波が多くてそのボートは半端じゃなく揺れる。私なん
かあれにのったら瞬く間に船酔いしそうだがその船に乗ってるおっちゃん
達はもちろん平気な顔をしてサバを焼きサンドイッチを作っている。わざ
わざあんなところで作るのは観光的演出なのだろう。この付近には何軒(?)
かの「サバサンド屋」があったがすべてこのボート方式だった。

 サバサンドはサバサンドで美味しいんだけどサンドイッチにせずにこれ
にご飯をつけてくれたら格安の「焼きサバ定食」が食べられるのになあ、
みそ汁はあきらめるし・・とある日本人に話したら「どうして日本人って
すぐそういう事を考えるんでしょうね」と言われてしまった。うーん、そ
れは多分、日本人だからだろう・・答えになってないな。

 この「焼きサバサンド」にはビールも良くあう(私は何でもビールにむ
すびつけてしまうのだが)だが残念ながらこのガラタ橋界隈ではあまりビ
ールを売っていない様である。

 トルコ人の大多数はもちろんイスラム教徒なのだが国としては政教分離
していることもありアルコールには寛容である。アルコールを出すレスト
ランも多い。Efesという国産のビールもあってこれは十分、合格点の味で
ある。

 ところがイスタンブールでは(他の街でもそうかもしれないが)地区に
よってアルコールOKのところとだめなところに別れている様である。ア
ルコールOKの地区なら酒を出すレストランも酒屋もあるのだが駄目だと
いう地区に入るとそういう店は見事に一軒も見当たらなくなる。法律かな
んかで境界でも決まっているのかと地元の人に聞いてみたが特にそういう
訳ではないらしい。何となく住み分けされているという話のようだ。それ
でもイスタンブールやエーゲ海沿いの街などはアルコールには寛容な方で
トルコの東の方に行くともっと厳しくなるみたいだ。

 だから、いくら外国人とは言え、街中で堂々と缶ビールなどを飲んでも
いいのかという問題がある。別に逮捕されたりするわけではないだろうが
結局、堂々とは飲まずに新聞紙などにくるんでこそこそ飲むことにした。
ばればれだと思うけど。そうまでして飲みたいか?と言われるかもしれな
いが・・飲みたいです。


 新市街にある軍事博物館では毎日、オスマン・トルコ時代のスタイルの 軍楽隊の演奏があるというので行ってみた。チケットを買って中に入り演 奏はどこでやるのかと尋ねると中庭だと言う。それならチケットを買わな くても良かったではないか。損した。  演奏の時間が近づくと中庭にだんだん観光客が集まってくる。日本人の 団体もいた。そこへ軍楽隊が演奏しながら行進して登場してきた。例の、 ほれっ、あの有名な「テーテケテッ」という曲である。『阿修羅のごとく』 というドラマのテーマにも使っていた、トルコ軍楽隊と行ったらもうこれ で決まりと言う有名な曲である・・けど曲名を忘れた。すみません。  軍楽隊はかなりの人数である。40人くらいはいるだろうか。みんなち ゃんと由緒正しい(と思う)服装をしている。よろいを着てる人もいる。 これから真夏になっていくと暑くてたいへんそうである。  この登場にはちょっと興奮したがその後の演奏は(こんなこと言って悪 いけど)やや退屈だった。やっぱりトルコ軍楽隊は「テーテケテッ」だよ な。20分ほど演奏してからまた行進して去っていった(退場時は演奏は なし)  でもそれから20分くらいするとまた出てきてもう一度演奏をした。何 故わざわざ2回に分けるのか良く分からない。もっと時間が離れているな ら分ける意味も分かるが。とにかく毎日2回の演奏を年間とおしてやって いるみたいだ。ご苦労である。  軍事博物館の展示そのものはつまらなかった。やたらにでかい博物館だ し展示品の数も半端じゃなく多いが、それだけである。見せる工夫という ものがまるでない。コンピュータ画面による案内もあるのだがこれも字が 並んでいるだけで恐ろしくつまらない(このホームページの話をしている わけではない・・と思いたい)まあ「トルコ」で「軍」とくればいかにも こういう博物館を作りそうではあるが。  でもこの展示と毎日軍楽隊の演奏をしてくれるというサービスとの落差 は何なのだろう。あるいは軍楽隊の演奏は単なる観光客サービスではなく 往年のオスマントルコの栄光を誇示しようとしているのだろうか。それと もサービス精神はあることはあるのだがそれが博物館の展示になると恐ろ しく空回りするのだろうか。まあどうでもいいんだけど。  クンカピ地区というところにシーフード・レストランがたくさんあるら しいので飛行機で知りあった日本の人と行ってみる。道沿いにオープン・ スタイルのレストランがびっしりと並んでいる。どう見ても観光客の数に くらべて店の数が多すぎる。一晩で一組くらいしか客が来ないんじゃない かという感じの店もある。今年はコソボ紛争の影響でトルコへの観光客は 例年よりかなり少ないらしい。当然、客引きはしれつになる。結局ビール、 ワイン飲み放題という条件を出してきた店があったのでそこで食事をする。 自慢じゃないが(どう考えても自慢にはなるまい)私はそういうのに弱い。 ワインはちょっとひどかったが料理はなかなか美味しかった。  観光客が減ったのは気の毒だがトルコの人はもうちょっと商売を工夫し てもいいんじゃないかと思う。まず、じゅうたん屋が多すぎる。客引きが うるさくてかなわない。レストランのメニューなんかもみんな似たり寄っ たりである。例えば美味しいトマトがあるんだからこれでトマトソースを 作ってスパゲッティ屋でもやればいいのにと思うがそんな店も見かけない。 まあ私がとやかく言っても仕方ないが。  トプカプ宮殿に行く。宮殿内のハレムはガイド付きで団体での見学しか 許可されていないのでそれに参加する。これはなかなか面白かった。やっ ぱりイスラム装飾というのは趣味が良い。そりゃ、こんな部屋に美女をは べらせて遊んでたらさぞかし楽しかろう。正直言ってうらやましい。ここ で酒でも飲んで・・って酒はなかったのかな。どうなんだろ。こっそり飲 んでたような気もする。  グランド・バザールにも行ってみる。評判どおり(?)とてもつまらない。 おみやげ屋がたくさん並んでいるだけという感じである。得体のしれなさ というものががないので興味をそそられないのだ。地下貯水池というとこ ろにも行くがここも私にはあまり面白くなかった。  イスタンブールにはいずれにせよ帰りにまた来なければいけないので今 回の観光は3日ほどで切り上げ、夜行バスでカッパドキアに向かうことに する。
関連写真を見る



...............