動物の権利関係のおすすめ本


動物の解放 ピーター・シンガー著 戸田清訳/技術と人間  私の書いている文の中でもしばしば引き合いに出している動物の権利運 動のバイブル的な名著です。 原題は『ANIMAL LIBERATION』(by Peter Singer)
動物の権利 ピーター・シンガー編 戸田清訳/技術と人間  上記の本と同様、技術と人間社から出版されています。こちらはピー ター・シンガー以外にトム・リーガン、メアリ・ミッドグレイ等17人が 書いた動物の権利に関する文章をまとめた本です。 原題は『In Defence of Animals』
アニマル・ファクトリー ジム・メイソン、ピーター・シンガー著 高松修訳/現代書館  工業的畜産の実態を実証的に明らかにしようとした本です。写真も多数 収録されています。
動物に権利はあるか ローレンス・プリングル著 田邊治子訳/NHK出版  動物の権利に対する賛否両論や動物の権利運動の哲学、歴史、現状等を 中立的な立場からまとめた本です。たいして分厚い本ではありませんので 動物の権利に関する全体像を手軽に知るのには適していると思います。 NHK出版が出しているのはちょっと意外です。「世紀を越えて」などの 番組でもぜひこの問題をとりあげて欲しいところですが、まあやらないで しょうね。 余談ですが後日付記 「世紀を越えて」は、世紀を越えずに(看板に偽りあり?)放送を終了し ました。結局、動物の権利はおろか、環境問題もろくにとりあげなかった。 なんでやねん(2000.12.29)
子供たちが動物を救う101の方法 イングリッド・ニューカーク著 AVA-net翻訳チーム訳/新泉社  著者はアメリカ最大の動物の権利擁護団体であるPETA(動物への倫理的 取り扱いを求める人々)の創設者の一人とのことで当然、動物の権利を擁 護する立場から書かれた本です。翻訳については日本の事情を考慮して一 部、修正、加筆されています。
死体の晩餐ー動物の権利と菜食主義の理由 ヘルムート・F・カプラン著 ニトライ陽子、田辺リューディアン、まきぼう訳/新泉社  動物の権利と菜食主義に関して概説的なことが書かれています。ドイツ 語圏では広く読まれている本だそうです。分量は少なくて、すぐに読めて しまいます。その分多少、物足りなさは感じますが余り長い本は苦手とい う方にはおすすめ。
新・動物実験を考えるー生命倫理とエコロジーをつないで 野上ふさ子著/三一新書(三一書房)  この著者が動物実験の問題に関心を持ち資料を探した時日本には動物実 験に反対する立場で書かれた本は翻訳を含めて一冊もなかったそうです。 >年間2000万にもおよぶこの医科学の犠牲者たちのために書かれた本 >が、なぜ一冊もないのでしょうか?  野上さんらが中心となって「動物実験の廃止を求める会(JAVA)」が設立 されました。JAVAにはその後、ごたごたがあって野上さんは別団体に移ら れましたが。。
ベジタリアンの文化誌 鶴田静著/中公文庫  自らもベジタリアンである著者が歴史をふまえつつベジタリアンという 生き方、考え方をとらえなおしておられます。
ベジタリアン宮沢賢治 鶴田静著/晶文社  これも上記と同じ著者によるものです。題名のとおり、宮沢賢治のベジ タリアンとしての側面に焦点をあてて彼の思想やその背景を考察していま す。
ビジテリアン大祭 宮沢賢治/角川文庫  宮沢賢治は良いです。深いです。「ビジテリアン大祭」さえ読んでいた だければもう私から申すべきことは何もないという感じです。このお話の 中ではべジタリアンをめぐる大論争の末に反対派も全員ベジタリアンに改 宗することとなります。宮沢賢治はせめてお話の中だけでもそうした世界 を実現したかったのかもしれません。 ・・前論者のビジテリアンは人間の感情を以て強て動物を律しようとする というのに対して、私は実に反対者たちは動物が人間と少しばかり形が違 っているのに眼を欺かれてその本心から起って来る哀憐の感情をなくして いるとご忠告申し上げたいのであります。誰だって自分の都合のいいよう に物事を考えたいものではありますがどこまでもそれで通るものではあり ません。元来私どもの感情はそう無茶苦茶に間違っているものではないの でありましてどうしても本心から起ってくる心持は全く客観的に見てその 通りなのであります。動物は全く可哀そうなもんです。人もほんとうに哀 れなものです。私は全論士にも少し深く上調子でなしに世界をごらんにな ることを望みます。 <中略>  いくら連続していてもその両端では大分ちがっています。太陽スペクト ルの七色をごらんなさい。これなどは両端に赤とすみれとがあり真ん中に 黄があります。ちがっていますからどうも仕方がないのです。植物に対し てだってそれをあわれみいたましく思うことは勿論です。印度の聖者たち は実際故なく草を伐り花をふむことを戒めました。然しながらこれは牛を 殺すのと大へんな距離がある。それは常識でわかります。                     (「ビジテリアン大祭」より)  ほんとそうだそうだという感じです。 「人もほんとうに哀れなものです。」というところがいいです。宮沢賢治 という人のスケールの大きさが感じられます。人間よりも仏様に近いのか もしれません。 「ビジテリアン大祭」は新潮文庫(たしか「銀河鉄道の夜」だったと思う) などにも収録されています。ただこの角川版には「フランドン農学校の豚」 なども入っていますので私としてはおすすめしたいです。
ベジタリアンの健康学?ダイエットからエコロジーまで 蒲原聖可著/丸善ライブラリー(#284)  新書サイズの本です。医学的、栄養学的見地から見たベジタリアン・ フードのすすめ・・とのことです。動物の権利の問題を扱っている本と は言えないかもしれませんが、ご紹介しておきます。


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